ブライダル業界の現状と今後の未来はどうなっていく?
ブライダル業界の現状と今後の未来はどうなっていく?
ブライダル業界の就職活動や転職活動をする時に、業界の現状や動向であったりブライダル業界の今後や将来性を把握しておく事は非常に重要です。
採用面接でも質問される事がありますが、ブライダル業界は時代や経済によっても変化しやすいため都度確認していく事が大切になります。
今回は、ブライダル業界の現状と今後・展望に関してお伝えしていきますので、ブライダル業界で働きたい方の参考になればと思います。
目次
1:ブライダル業界とは
・変わる結婚式のトレンド
2:ブライダル業界の現状
・人口減少による婚姻数の減少
・新型コロナウィルス流行の影響
・結婚の晩婚化/なし婚の増加
・未婚率の増加
3:ブライダル業界の今後
・結婚のスタイルの多様化に対応したプランの強化
・他社との差別化/ブランディング力の強化
・SNS/SEO対策による集客の強化
・オンラインの活用
・結婚式の質を重視/人材の定着
・結婚に対する選択肢が増えていく
3:まとめ/ブライダル業界は今後も必要なサービス
ブライダル業界とは
ブライダル業界とは結婚に関する様々なサービスを提供している業界の事で、ホテルや専門式場・ゲストハウスなどで結婚式を挙げられるお客様へのサービスを指します。
その他に結婚情報サービス・ドレス・ジュエリー・フラワー・ハネムーン市場など婚礼、結婚に関するサービスも含まれます。
華やかな業界である一方で、過去の例をみてもその時代の流行や景気に左右されやすい業界である事が分かります。
変わる結婚式のトレンド
結婚式のスタイルやトレンドは時代によって変わってきます。
過去の結婚式のスタイルやトレンドを振り返ってみると以下のように変化しています。
○ハデ婚(1980年代~)
バブル期である事や芸能人の結婚式がテレビ中継されるのが一般的となっていたため、豪華で派手な結婚式が流行っていました。
○地味婚(1990年代前半)
バブル崩壊後は、以前のような豪華な結婚式は少なくなりどちらかというと身内だけであったりお金をあまりかけない結婚式が増え始めました。
芸能人の結婚式のテレビ中継も殆どなくなります。
○アットホーム婚・オリジナル婚(1990年後半~)
その後、オリジナルウェディングが流行し、ゲストハウススタイルで結婚式を挙げるハウスウェディングが登場します。
洋風な一軒家を貸し切って行い、アットホーム感やオリジナル感の溢れる結婚式のスタイルが流行り始めました。
2000年代にはゲストハウスが全国に続々と登場し、今までホテルや結婚式場がメインでしたが結婚式の選択肢の1つとして多くのカップルに選ばれるようになります。
その他にも時代を象徴する結婚のワードとしては
・できちゃった婚(おめでた婚)
・和婚
・なし婚
・ジミ婚
・おもてなし婚
・令和婚
・海外ウェディング・リゾートウェディング
などがあり、多くのブライダル企業がその時代の流行やトレンドに合わせて結婚式のプランやスタイルを提案し続けています。
ブライダル業界の現状
ブライダル業界の現状を知るために、ブライダル市場の状況を含め説明していきます。
人口減少による婚姻数の減少
現在の日本では人口減少が進んでおり、出生数も低下している事から少子高齢化が深刻な問題となっています。
結婚適齢期の若い世代の人口が減少しているため、婚姻数が少なくなっているという現状があります。
○令和元年の婚姻件数(確定数):59万9千7件
○令和2年の婚姻件数(確定数):52万5千490件
○令和3年の婚姻件数(推定数):約51万件
婚姻件数は1972年の109万9千984件の最大件数を機に、緩やかな減少が続いており2018年には59万人と過去数十年間で最も少なくなりました。
(※厚生労働省の人口動態統計より)
翌年の2019年は令和婚などの影響で一時的に婚姻数が増えたものと考えられますが、2020年の新型コロナウィルスの影響により減少傾向となっています。
新型コロナウィルス流行の影響
2020年より流行し始めた新型コロナウィルス感染拡大の影響により、この2年間ウェディング業界全体も大きな打撃を受け厳しい状況となりました。
緊急事態宣言が出た事もあり、密になって会食をする結婚式の実施は難しくなりました。
ウェディングの会場が休館になるケースや、新郎新婦側からも結婚式や披露宴の中止・キャンセルや延期など自粛するケースが相次ぎ、ブライダルに関連する施設を運営できず倒産したりサービスがストップする会社が増えました。
中小企業のみならず、上場企業への影響も出ておりコロナ流行後の売上損失は、約1兆円と考えられています。
その為、働いているスタッフや採用活動にも打撃があり、給与の減額、契約社員・派遣スタッフ・アルバイトなどの打ち切り、また新卒・中途採用を中止したり、人数を減らして採用活動を行うというような影響が出ました。
コロナ禍の結婚式のスタイルとしては少人数や家族だけなど規模を縮小した結婚式、またオンラインでの結婚式や、屋外のレストランやガーデンウェディングなどのスタイルで行う方も増えていました。
感染が続いている間は、規模や形式にこだわらない結婚式が増えており、感染対策を十分にしながら結婚式のゲストにどう楽しんでもらうか様々な工夫をしながら行っているという現状があります。
各ウェディング企業の様々な対策・対応により結婚式を予定されていた方が戻ってこられたり、少しづつではありますが回復傾向にあります。
今後コロナウイルスが収束してくると、今まで延期や中止をしていたカップルの挙式・披露宴が更に増えると予想できます。
実際に特定サービス産業動態統計速報(2022年1月)によると
○結婚式場全体の売上は、前年同月比+35%と10ヶ月連続の増加
○結婚式取扱件数は、前年同月比+30%と11ヶ月連続の増加
となっております。
結婚の晩婚化・なし婚の増加
近年では女性の活躍による社会進出も増え、ライフスタイルの変化などから結婚の晩婚化が進んでいます。
2005年までの平均初婚年齢はずっと20代でしたが、2006年には男性が30歳、女性が28.2歳となっておりそのまま初婚年齢は上がり続けていました。
令和婚の影響か2020年の初婚年齢は前年より多少低下しており、初婚年齢が前年より下がるのは実に70年ぶりとなります。
○令和元年の初婚年齢
男性:31.2歳
女性:29.6歳
○令和2年の初婚年齢
男性:31歳
女性:29.4歳
(※厚生労働省の人口動態調査より)
このように晩婚化が進む事で派手な結婚式は避け、ごく親しい人だけを呼ぶ少人数婚や家族婚にしたり、婚姻届けのみ提出するなし婚という形を選ぶ方が増えてきています。
未婚率の増加
今までの日本では結婚=幸せというイメージがあり結婚するのが当たり前という考えが一般的でしたが、近年では晩婚化の影響や価値観の変化で結婚をしないという選択をする男女も増えてきました。
そのような価値観の変化により、現在の日本では未婚率も増加しておりブライダル市場の婚姻数の減少にも大きな影響を与えていると思われます。
2020年の男性の生涯未婚率は25.7%、女性は16.4%となっており、5年前の2015年の男性の未婚率23.4%、女性の未婚率14.1%からも徐々に増え続けています。
また男女別・年代別の未婚率の割合は、下記のようになっています。
○男性
20代後半:72.7%
30代後半:35%
○女性
20代後半:61.3%
30代後半:23.9%
(※国勢調査より)
男女共に20代後半での結婚は少なく、30代後半になると男女共に結婚する人が増えています。
20代後半の男性は約7割が未婚、女性は約6割が未婚の状態ですが、30代後半になってくると半分以上は婚姻している事が分かります。
ブライダル業界の今後
このように昨今の日本での婚姻件数は人口の減少や少子高齢化、また近年の新型コロナウィルスの影響で緩やかな減少傾向にあります。
また婚姻しても、結婚式(挙式・披露宴)を行わないというカップルは年々増え続けている事や、婚姻数の母数が減少してきているため、ブライダル業界の各企業の競争はますます激化していく事が考えられます。
これからのブライダル業界にはどのような対策が必要でしょうか。
結婚式の多様化に対応したプランの強化
このような社会の変化に対応するために、ブライダル業界・ブライダル企業には今後様々な対策・努力が求められます。
価値観の変化や晩婚化の影響によるナシ婚の割合は2010年より増え続けています。
そのため、ブライダル各社ではターゲットの幅を広げナシ婚や再婚など結婚式を挙げない人たちや、挙式披露宴を挙げた方への継続的な利用(結婚記念日や子供の記念日などの宿泊・レストラン利用など)のニーズ・需要を掘り起こしていくなどの対策が行われており、今後も更に必要となってくるでしょう。
特にナシ婚や再婚層に関しては結婚式の魅力を伝える事、また挙げない理由・問題点を解決できるプランの提案(短期間で準備ができる・短時間結婚式・大人向け結婚式など)によって改善していく余地はあると思います。
下記で説明しますが、SNSやYouTubeなどが消費者にとって身近なものとなっている事や、SEO対策を強化し自社のサイトで集客を集める方法などで企業のプランや魅力をアピールする事ができます。
またブライダル業界はサービス業に入りますが、リピーターがいないというのが特徴の1つです。
今後既存のお客様の継続的なリピートを増やしていく事や、新たな市場の開拓・集客の強化が売上に繋がっていくでしょう。
他社との差別化・ブランディング力の強化
前述したように、現在のブライダル業界は婚姻数の減少や、結婚式実施率の低下が顕著になっており各企業の競争が激しくなっています。
そのため他社との差別化や自社の強み(ブランディング力)を強化する事が必要になってきます。
ジミ婚やナシ婚が増えている一方で、高級志向の結婚式場やホテルでは変わらず多くの結婚式を実施(完売)しているところもあります。
また近年では海外進出に力を入れたり、インバウンド婚に対応できる体制を整えているブライダル企業も増えてきており、今後も更に重要となってくるでしょう。
他社との差別化を図り、オーダーメイドスタイルの結婚式に力を入れたり、自社での結婚式の価値を高められるようなブランディング力がますます必要となるのではないでしょうか。
SNS・SEO対策による集客の強化
近年ではSNSで結婚式場やウェディングドレスを選ぶカップルも増えてきています。
企業や会場など自社のアカウントを持ち情報を発信する事で集客を狙う事ができたり、インフルエンサーによる発信、また実際にその式場を利用した花嫁からの投稿など様々な手法で集客を得る事ができるためSNSは重要なツールの1つとなっています。
コロナ禍で外出も減り家にいる時間も増えた事から、自宅で気軽に結婚式場やウェディングドレスを探せるSNSでの集客はますます重要になってくるでしょう。
特にInstagramは写真がメインとなり全面に出るため情報が伝わりやすく、華やかな結婚式では会場やドレスの細かい部分や雰囲気が伝わりやすくメリットが大きいと言えます。
常に企業側から最新の情報を発信できるので、利用者にとってはより身近に感じる事ができ安心感や親近感も湧きやすくなるでしょう。
自社会場の魅力や強みを全面に出せるため、費用の高い広告媒体だけではなく自社で集客戦略を狙っていく事も今後はより必要になってくるでしょう。
前述したように、結婚式を挙げないなし婚と呼ばれる層や既存顧客のリピートなどはSEO対策をもっと強化する事で取り込める可能性があります。
オンラインの活用
既に多くの企業が取り組んでいますがコロナウィルスの影響により、オンライン化を組み合わせながら結婚式の新規接客(見学)、打ち合わせをしていく事が今後も増えていくでしょう。
このような社会の変化によりオンライン化が進みましたが、実際来店の負担が減ったという事や比較的時間の都合もつきやすいという事から、オンラインの方がスムーズで効率が良いというメリットの声も多く上がっています。
企業によってはオンラインでの対応時間を延長しているなど対策をしているところもあります。
結婚式の質を重視・人材の定着
コロナ渦により、新郎新婦は勿論の事、ご両親や来て頂いた来賓の方に安心して過ごしてもらえるような式場の体制が求められています。
今後しばらくは感染対策をしっかり行いながら、満足のいく結婚式を実施する事が求められるため、更に結婚式の内容やサービスの「質」が求められてくるでしょう。
前述したように現在はSNSによって実際に結婚式を利用した花嫁からの投稿なども見られるようになっています。
集客戦略の1つとして重要な役割を持つ手法ですので、式場の魅力やサービス内容をアピールするためにもお客様により満足して頂けるような質の向上が求められてきます。
そのためには、ウエディング業界のプロとしてどの職種の従業員も高い能力やスキルが必要となってきます。
今までのコミュニケーション力やホスピタリティ力にプラスして、新郎新婦の要望や気持ち寄り添いながらあらゆる状況や場面に臨機応変に提案のできる対応力がある人材が求められています。
特に新郎新婦と直接結婚式を企画・プランニングしていくウエディングプランナーには、より顧客満足度の高いオリジナル(オーダーメイド)結婚式の実現が求められるでしょう。
従業員の育成や離職回避に力を入れるとともに(メイン業務に集中できるためのIT化など)、大手ブライダル企業などでは既に取り組みが行われていますが、女性が家庭と両立し長く働ける制度を整えていく事が重要となるでしょう。
結婚に対する選択肢が増えていく
新型コロナウィルスの影響を受け結婚式を中止したり、延期もしくは行わない事を決めたカップルが増えた事から結婚式以外に費用を使える選択肢が増えたという面があります。
例えば結婚指輪やフォトウェディングに費用をかける方も増えました。
フォトウェディングとは海外では一般的になっており、結婚式や挙式披露宴と同じような衣装(ウェディングドレスやタキシード、和装)・ヘアメイクでスタジオや屋外で写真撮影を行うサービスです。
日本ではあまり浸透していませんでしたが、コロナ禍の影響や結婚式のスタイルの多様化により徐々に増えてきており新しい結婚のプランの1つとして選択されるようになってきています。
また年々増えている沖縄でのリゾートウェディングの際に、沖縄の海や城跡などのロケーションをバックにフォトウェディングも兼ねて一緒に行うケースも増えてきています。
◎新型コロナウィルスの流行が続いている間はこのように様々な結婚に対する選択肢が変化しますので、柔軟に対応していく事が求められます。
まとめ
コロナ禍によってブライダル業界は大きな打撃を受けましたが、それと同時に家族や大切な人と過ごす時間も増え関係を見直すきっかけになったという人たちも増えてきました。
実際に芸能界でも、このような時間に将来を考えた方が増え多くの方が結婚しました。
若い世代の中には結婚に対する意識が変わったという人も増えていく可能性があります。
人口の減少・少子化・晩婚化などによる市場への影響はありますが、結婚式は今後も結婚するカップルにとって一生に一度の思い出となるものであり、感謝を伝える場でもある事からなくてはならないサービスであり続けるでしょう。
しかし企業同士の競争も激しくなっておりますので他社とのサービスの差別化がますます重要となるでしょう。
様々な変化や結婚するカップルの価値観やニーズを把握し、それにこたえる事で一生に一度の大切な日をプロデュースする重要な役割を持ち続ける事ができる業界であると思います。
今後業界が変化していくのには時間がかかると思いますが、ブライダル業界では勝ち抜いていくための企業の戦略や努力が求められ、新しいブライダルの形や市場の展開をしていく企業も出てくる事が予想されます。
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